体育も「積み上げ」の学習です ~5年生跳び箱&3年生マット~

 今日は久しぶりに体育館を覗きに行くと、5年生が跳び箱運動に取り組んでいました。

 最初は基本の「開脚跳び」から。しっかり助走をして→ロイター板で強く踏み切り→跳び箱の前の方にしっかりと手をついて→腰を高く、目線は前へ→手を突き放し、着地へ。みんななかなかの演技!大変きれいで、大きな動きでGOOD!です。しばらく見ていて感じたことは、「この子たちは、腰がよく上がるなあ…。」ということ。ただの勢いではなく、意識的に腰を高く上げようとしているのが分かりました。

 次は、跳び箱運動のひとつの「関門」である「台上前転」です。

 予想通り、うまく回れる子たちが多かったです。「足を伸ばしたまま回ると、回転が大きく、ダイナミックになるよ。」と軽くアドバイスをするだけで、演技の完成度は上がっていきました。

 「台上前転」のポイントはただ一つ!「思い切り上に腰(お尻)を上げる!」ことです。お尻さえ高く上がれば、黙っていても体は勝手に跳び箱の上で回ります。「台上前転」がうまくできない原因は、ずばり「頭よりお尻の方が高くなる『逆さ状態』になるのがこわい」ということ。高学年になり体が大きく重くなるほど、その「恐怖感」は大きくなります。だからこそ、できれば低学年までに、いや幼稚園・保育園時代にしっかりと「体が逆さになることに慣れておくこと」つまり「逆さ感覚」を身につけておくことが大切です。鉄棒遊びや転がり遊びを十分にしておかないといけません。もう一つは、「しっかりと腕を突っ張る感覚」や「うさぎ跳び感覚」が身についていることです。低学年の体育の運動遊びで、「うさぎ跳び」や「カエルの足たたき」を丁寧に繰り返しするのはそのためです。

 次の時間は、3年生がマット運動に取り組んでいました。側転の練習です。

 どうですか、この子たちの足の上がり具合!素晴らしいです。しっかりと腕を突っ張って、腰(お尻)を天井まで上げるような気持ちで、高く持ち上げています。この感覚が5年生の「台上前転」に通ずるものがあることに気づいていただけたでしょうか。大切なのは「逆さ感覚」や「腕を突っ張る感覚」などの多様な運動感覚なのです。これらは、小さい頃からいろんな運動経験(運動遊び)を積み上げることによって、自然に身についていくものです。体育の、特に「器械運動」は「積み上げ」の学習だと言えると思います。低学年の多様な「運動遊び」で身に付ける「運動感覚」が、中高学年の難しい技を成功させる一番大事な「基礎の力」になるのです。