校長ブログ

算数と数学の違い…今日の授業は算数?数学?~3年生 ▢を使った式~

 突然ですが「算数」と「数学」はどう違うのでしょうか?「小学校の時は算数と呼んで、中学校に行くと数学と呼ぶ…」それだけのものでしょうか。実は「算数」と「数学」には明確な違いがあります。

「算数」という言葉を調べると、「数をかぞえること。計算すること。また、その結果得られた数。」と出てきます。算数とは、簡単に言うと「計算をして答えを出す」教科です。身のまわりにある具体的な数や形についての、計算の仕方や扱い方を学びます。勉強する内容は、たし算・ひき算・かけ算・わり算といった基本的な計算方法、買い物のお金の計算、速さや距離の計算、図形の面積など。どれも、いつもの生活で扱う数ばかりです。

身近な数を正しく計算して正しい答えを出す。これが算数の考え方です。

 一方、「数学」という言葉の意味は、「数量および空間図形の性質について研究する学問。算術・代数学・幾何学・解析学・微分学・積分学などの総称。」です。算数と比べると何やら難しいことが書いてありますが、大切なのは「学問」という単語。 そう、数学は、「なぜそうなるのかを追求する」学問なのです。 答えを出すことより、答えを出すためのプロセスに注目しています。数学では、マイナスの数や文字式など、実際には触れることができない抽象的な数も扱います。具体的なひとつひとつのケースではなく、広く一般的なしくみを表現する方法を学びます。 「なぜそうなるのか」を、数字や記号を使って論理的・一般的に考え、表現する。これが数学の考え方です。

 さて、今日の3年生の算数の授業ですが、学習のめあては「▢を使って式に表そう」です。提示された問題は、「けんさんは、カードを何枚か持っています。弟に18枚あげました。残りは24枚になりました。」、

「同じ数ずつ8人で鶴を折ったら、全部で32羽になりました。」

 この問題が「けんさんは、はじめ何枚カードを持っていましたか。」とか「一人何枚ずつ鶴を折ったのでしょう。」となっていたら、子どもたちは、「24+18=42 答え42枚」、「32÷8=4 答え4羽」と答えないといけません。まさしく「算数」の問題です。

 ところが今日の学習のめあては「□を使って式に表そう」です。問題の意味や構造をしっかり見据えて、式化していくのが課題です。分かっている数(既知数)と分からない数(未知数)を見極めて、文章の意味からそれらをどういう「符号(+-×÷=)」でつないで式にするか、またそれぞれの数の関係性をどう図(数直線、テープ図)で表すかを考える学習です。

「▢(はじめの数)-18(あげた数)=24(残りの数)」、「▢(一人分の数)×8(人数)=32(全部の数)」と立式できることがゴールです。この式ができると「▢を求めるためには、▢=24+18=42」「▢=32÷8=4」というふうにはっきり見えてきます。

この学習はもはや「正しく計算して正しい答えを出す=算数」ではなく、「なぜそうなるのかを、数字や記号を使って論理的・一般的に考え、表現する=数学」の学習になると考えられます。 

 3年生の「算数」であっても、このような「数学的な見方・考え方」を使った学習を積み上げていかないと、高学年の「割合」や「単位量」などの抽象的な概念の学習や中学校の「負の数」や「方程式」等にうまくつながっていかないことになります。だからこそ、「簡単に答えを出す」だけの「算数」ではなく、問題の意味や構造を、式や図で表し、問題の全体像を捉え、なぜそうなるのかを考えながら解決していくという「数学的思考」=「数学」を大切にした学習になるように、日々授業研究に努め、授業を行なっています。