校長ブログ

原ゆたかさんの思い ~かいけつゾロリがギネス記録に!~

 低学年の子どもたちに大人気の児童書「かいけつゾロリシリーズ」。昨年7月に71巻目が発行されたのですが、同じ作者が物語とイラストを執筆した児童書のシリーズでは世界で最も多い発行巻数としてギネス世界記録に認定され、11月29日、認定証が授与されました。

 「かいけつゾロリ」は、キツネのキャラクター「ゾロリ」が仲間とさまざまな冒険をする物語で、1987年に第1巻が発行されて以来、これまでに累計発行部数は3500万部を超えています。

「夢のようなことが起こってちょっとびっくりしています。どんどんネタがなくなって苦しいときもありますが、子どもたちに望まれているうちは頑張っていきたい」と作者の原さんはインタビューで話されていました。また、「子どもたちが支えてくれてここまで続けられました。物語ではゾロリは毎回失敗しますが、それでも次に挑戦します。諦めずにもうちょっと頑張ってみようという気持ちが伝わってほしいです」とも話されていました。

 そのインタビューの中の原さんの言葉で、特に印象に残った言葉を紹介したいと思います。

「本が嫌いな子がどんどんとページをめくりたくなって「気がついたら一冊読みあげていた!」という本を作りたいという気持ちでした。」

「大人って、自分が小さい頃に読んでいたおもしろい本のことは忘れてしまって、いま、『子どもに読んで欲しい本』を読ませようとするものなんですよね。でも、大人が読ませたがるような小難しい本って、子どもの頃、私は全然おもしろくなかった。子どもは親父ギャグやおならが大好きだし、僕はそんな時期を経て、大人になるものだと思うんです。だから、子どもたちにもそこは通らせてあげてほしい。そしてそれを使って本を読む楽しさを教えたいなと思うんです。」

 

そして、私がもっとも納得した原さんの言葉がありまして…、これは「かいけつゾロリ」で大切にしていることはありますか?」という質問に対する答えでした。

 

「戦わない。人を傷つけない。ハラハラドキドキさせることかな。学校の図書室にも並ぶものだから、殺伐としていないものを描かなきゃと。敵を懲らしめることはするけど、いかなる理由があっても相手をやっつけるということはしたくないと思っています。」

 

 ゾロリが敵に立ち向かう時、どうして銃などの武器を使わないのか…、「おなら」で吹き飛ばそうとするのか…合点がいきました。それは「下品」ではなく「平和」「やさしさ」だったんですね。

 低学年の子どもたちに大人気の「かいけつゾロリ」シリーズ…そこには単なる「面白さ」だけでなく作者である原ゆたかさんの子どもたちに対する深い深い思いと愛情があったのですね。

ちょっとしたことですが、幸せな時間です ~朝のあいさつ運動~

  今日は1月の16日月曜日。毎月1日と15日は運営委員会の子どもたちが「あいさつ運動」をしていてくれます。本当は昨日が15日だったのですが、日曜日だったため、一日ずれて、今日16日に「あいさつ運動」をしてくれました。…とさらっと言ってしまいますが、これもちゃんと子どもたちが「気がついていてくれる」からこそできることです。私(校長)からは「今日は挨拶運動だったね。」などとは一切言ってないのですが、(…というか私自身は忘れています。)きちんと覚えてくれている子たちがいるから、自然と「あいさつ運動」が展開できるわけです。何気ないことですが、子どもたちが「しっかりしていてくれる」ことをとても嬉しく思います。少し前までは、「あいさつ運動」をしているのか、「みんなでおしゃべり」に興じているのか、分からないような運営委員会の「あいさつ運動」でしたが、最近は、きちんと「目的」に立ち返れる子がちらほら出てきて、何人かがきちんと「あいさつ」していると、回りの子たちもだんだんときちんと「あいさつ運動」ができるようになってきました。ちなみに、2年生Yさんと6年Sさんの「自主的あいさつ運動」は今もなお毎日続けられています。(もう4か月目に入りました)

 子どもたちの登校をすべて迎え終わって、学校周辺のごみ拾いに出かけると、今度は通学途中の中学生に出会います。西小の子どもたちは、たいてい私が「おはようございます。」と言ってから、軽く会釈しながら「おはようございます。」と笑顔で返してくれる子が多いのですが、中学生は自分から「おはようございます。」と挨拶してくれる人が多いです。「気をつけていってらっしゃい。」と声をかけると、「はい。行ってきます!」と返してくれます。西小の子どもたちの「会釈しながら笑顔であいさつ」というのはとても気持ちいいのですが、中学生の「自分から元気なあいさつ」というのも、とても気持ちのいいものです。

 竜王町では、出会う人出会う人…必ず「あいさつ」してくださいます。ごみ拾いをしているとわざわざ車の窓を開けて「おはようございます。ご苦労様です。」と声をかけてくださる方もいます。もちろん車から「会釈」してくださる方はたくさんいます。朝の少しの時間ですが、いろんな方々と「触れ合える」ことを楽しいと思えますし、そんな時間が持てる「竜王町のあたたかさ」の中で、仕事ができることに感謝しています。

お仕事チャレンジ発表会! ~1年生生活科「じぶんでできるよ」~

 

 今日の5校時。1年生の生活科の授業研究会が行われました。蒲生郡の7つの小学校から低学年の先生たちが、1年生の授業を見にきてくださいました。

 今、1年生は「じぶんでできるよ~お仕事チャレンジ~」の学習をしています。「自分の家庭生活について、調べたり、尋ねたりしながら、お家の人のよさや自分でできることをなどを見つけ、家庭生活は家族が互いに支え合っていることが分かり、自分の役割を積極的に果たすとともに、規則正しく健康に気をつけて生活しようとできる」ことが学習のめあてです。

 この「お仕事チャレンジ」は、一度お家のお手伝いをして、その仕事の内容を説明したり感想を発表したりして、「はい!おしまい」というような薄っぺらな学習ではなく、何回も「お仕事チャレンジ」して、そのことを友達と発表し合いながら、「自分にできること」を増やしたり、家庭生活の中の自分の役割を積極的に果たせるようになったりすることをめざす学習です。

 子どもたちはすでに2学期に2回の「お仕事チャレンジ」を終えており、今日の発表会は3回目の「冬休みのお仕事チャレンジ」を振り返ってのものでした。

 洗濯物たたみ、お風呂掃除、食器洗い、窓ガラス拭き、ピザづくりなどなど、いろんな「お仕事」の発表がありました。発表会は、「口で説明」するだけでなく、実物をもってきて「実演」しながら説明したり、タブレットで撮ってきた写真を見せながら説明したりと、聴く人(相手)が興味を持てるように、分かりやすいようにめいっぱい工夫して発表をしました。

 この学習には、お家の方の協力が不可欠で、子どもたちの「お仕事」プリントにコメントを書いていただいたり、タブレットで「お仕事」の様子を撮影してもらったりと、たくさんの協力をいただきました。そのおかげで、子どもたちは「お仕事チャレンジ」の試行錯誤の中から、豊かな学びと自分への自信を身に付けていきました。お家の方のご協力に心より感謝いたします。 

 今日の子どもたちの様子を見ていると、自分の「お仕事チャレンジ」をみんなに聞いてほしいという強い気持ちと自分への自信を感じることができました。自分が「発表」するだけでなく、友だちの「質問」にも答えました。聞いている方は、発表に対して「質問」をしたり、「感想」を言ったりしました。何回も発表会を経験することで、「話す力」や「聞きあう力」、「感想を言葉にする力」等が確実についてきたように思います。特に、今日は「お客様」がたくさんいるので、緊張しながらも、「聞いてほしい、見てほしい気持ち」が勝って、普段より意欲的な子どもたちでした。

 

 さて、今日来てくださった「お客様」の子どもたちの活動に対する感想ですが…、

「これが冬休み明けの1週目、金曜日の午後の子どもたちの姿?1年生とは思えない集中力と学習意欲です。うちの学校は2年生でも、もう授業にならないくらいへろへろになっていますよ…。」

「全体での活動→グループでの活動→全体での活動と、子どもたちの切り替える力がすごいです。この力が『朝の脳トレ』の成果でもあるんですね。」

「発表会をすることがゴールではなく、発表会を終えてから『〇〇さんの、〇〇のお仕事がすごいと思った。今度ぼくも家でチャレンジしたいです。』と次の「お仕事チャレンジ」への意欲をもっているところが、とても意味のある深い学びだと思った。」などなど… 

 本校の1年生の素晴らしさを絶賛していただきました。本当によく頑張った1年生そして吉村先生でした。

 

 そしてやっぱり「お客様」が帰り際におっしゃいました。

「下駄箱の靴、びっくりするくらいきれいに揃ってますね…。」

 私…「ありがとうございます。これが『竜西プライド』です。」

求められるのは「論理的思考」と「説明する力」~5年算数学びの基礎チャレンジ過去問練習

 5校時、5年生が算数の学習で「学びの基礎チャレンジ」の過去問に挑戦していました。「学びの基礎チャレンジ」とは、小学4~6年生対象に、国語と算数の2教科における1年間の学習習熟度を確認するための滋賀県独自のテストです。「学びの基礎」ですから内容自体は、基礎的な問題なのですが…。

 今、子どもたちに求められている学力は、単に「正解を出す力」だけではありません。算数の場合なら、問題の意味を読み解き、「筋道を立てながら考え(論理的思考)」、それを言葉や式で「説明する力」が求められます。つまりは、探究力や分析力、問題解決力が求められるわけです。最近よく、自分で「式と答え」を書く問題ではなく、「Aさんが解答した式と答え」を見て、「Aさんの考えを説明しなさい。」という問題が出されています。

 今年度の「学びの基礎チャレンジ」、4,6年生は実は今日が本番でした。そして明日、5年生が挑戦することになっています。この「学びの基礎チャレンジ」をすることによって、自分の「課題」を明確にさせて、この3学期にしっかりと「復習」し、自信を持って6年生に進級してほしいと思います。

算数と数学の違い…今日の授業は算数?数学?~3年生 ▢を使った式~

 突然ですが「算数」と「数学」はどう違うのでしょうか?「小学校の時は算数と呼んで、中学校に行くと数学と呼ぶ…」それだけのものでしょうか。実は「算数」と「数学」には明確な違いがあります。

「算数」という言葉を調べると、「数をかぞえること。計算すること。また、その結果得られた数。」と出てきます。算数とは、簡単に言うと「計算をして答えを出す」教科です。身のまわりにある具体的な数や形についての、計算の仕方や扱い方を学びます。勉強する内容は、たし算・ひき算・かけ算・わり算といった基本的な計算方法、買い物のお金の計算、速さや距離の計算、図形の面積など。どれも、いつもの生活で扱う数ばかりです。

身近な数を正しく計算して正しい答えを出す。これが算数の考え方です。

 一方、「数学」という言葉の意味は、「数量および空間図形の性質について研究する学問。算術・代数学・幾何学・解析学・微分学・積分学などの総称。」です。算数と比べると何やら難しいことが書いてありますが、大切なのは「学問」という単語。 そう、数学は、「なぜそうなるのかを追求する」学問なのです。 答えを出すことより、答えを出すためのプロセスに注目しています。数学では、マイナスの数や文字式など、実際には触れることができない抽象的な数も扱います。具体的なひとつひとつのケースではなく、広く一般的なしくみを表現する方法を学びます。 「なぜそうなるのか」を、数字や記号を使って論理的・一般的に考え、表現する。これが数学の考え方です。

 さて、今日の3年生の算数の授業ですが、学習のめあては「▢を使って式に表そう」です。提示された問題は、「けんさんは、カードを何枚か持っています。弟に18枚あげました。残りは24枚になりました。」、

「同じ数ずつ8人で鶴を折ったら、全部で32羽になりました。」

 この問題が「けんさんは、はじめ何枚カードを持っていましたか。」とか「一人何枚ずつ鶴を折ったのでしょう。」となっていたら、子どもたちは、「24+18=42 答え42枚」、「32÷8=4 答え4羽」と答えないといけません。まさしく「算数」の問題です。

 ところが今日の学習のめあては「□を使って式に表そう」です。問題の意味や構造をしっかり見据えて、式化していくのが課題です。分かっている数(既知数)と分からない数(未知数)を見極めて、文章の意味からそれらをどういう「符号(+-×÷=)」でつないで式にするか、またそれぞれの数の関係性をどう図(数直線、テープ図)で表すかを考える学習です。

「▢(はじめの数)-18(あげた数)=24(残りの数)」、「▢(一人分の数)×8(人数)=32(全部の数)」と立式できることがゴールです。この式ができると「▢を求めるためには、▢=24+18=42」「▢=32÷8=4」というふうにはっきり見えてきます。

この学習はもはや「正しく計算して正しい答えを出す=算数」ではなく、「なぜそうなるのかを、数字や記号を使って論理的・一般的に考え、表現する=数学」の学習になると考えられます。 

 3年生の「算数」であっても、このような「数学的な見方・考え方」を使った学習を積み上げていかないと、高学年の「割合」や「単位量」などの抽象的な概念の学習や中学校の「負の数」や「方程式」等にうまくつながっていかないことになります。だからこそ、「簡単に答えを出す」だけの「算数」ではなく、問題の意味や構造を、式や図で表し、問題の全体像を捉え、なぜそうなるのかを考えながら解決していくという「数学的思考」=「数学」を大切にした学習になるように、日々授業研究に努め、授業を行なっています。